栃木県の小山駅から群馬県の新前橋駅までを繋ぐ両毛線。
平日は高校生で溢れ、誰と誰が付き合っているとかいないとか、芸能人のスキャンダルについてとか、なかなかに深くまで踏み込んだ話を聞けるスポットの一つである。
また、足利花火大会の日には車両がパンパンになり、立たなくても立てるというそこだけ切り取ったら哲学じみた状況になる。
こんな路線の名前である「両毛」の由来は、栃木県と群馬県の旧名からきている。
群馬県は上毛野国(かみつけのくに)
栃木県は下毛野国(しもつけのくに)
という。
僕は下毛野国生まれだ。いや、別に上毛野国を羨ましがってるとかそういうことはない。むしろみんな下毛野から産まれて(ry
強いて言えば、「上毛カルタとか良いな〜」とは思う。
知らない人もいるかもしれないので説明をしておくと、奴らは子供の頃に上毛カルタの句を全て脳に刻み込んでいる。
「え」と言えば「縁起だるまの少林山」、「ね」と言えば「ねぎとこんにゃく下仁田名産」と間髪入れずに唱えてくる。
これらはしばしば暗号として使用される。
もちろん、非群馬県民をあぶり出すためだ。
リクエストには100ミリ秒以内に応える必要があるため、脳内にデータベースがないとこのセキュリティを突破することは不可能。
また、上毛カルタを覚えると非群馬県民ではいられなくなる。郷土カルタによる洗脳だ。
句を覚えなければ非群馬県民だとバレてしまい、覚えた頃には精神をもっていかれ群馬県民と化す。
まさに八方塞がり。万事休す。潜入は不可能。トム・クルーズでさえも「No!」と喚き、鍛えた身体で逃亡をはかる。
これらは1947年から緻密に練られた計画であり、既に70年が経過している。
2017年現在、群馬県民の顕著な増加は確認できていないが、安心することはできない。
なぜなら、この計画のトリガーは2020年に行われるオリンピックにあるからだ。
影響力が非常に高い国際的な一流アスリートへ「群馬」が伝播することで、そこから指数関数的な増加が始まる。
子供らは好きな選手のファッションを真似するが如く、自然と精神を乗っ取られていく。
2002年に大流行したベッカムヘアーの再来と考えれば、これがどれほどの危機的状況か理解できるはずだ。
全ては計算されていた。
この計画の裏には、一体誰が潜んでいるのだろうか。
突き止めたところで、今さらどうすることもできない。
我々はただ、2047年におとずれる全人類群馬化計画(We are the Gumma)の完遂を受け入れるしかないのだ。
因みにこの文章は両毛線内で群馬に見られやしないかと肝を冷やしながら書いている。
私の今日のミッションは達磨を買うこと。
帰還したら目を入れた達磨をアップする。それが反逆の合図だ。